大阪の大企業がため込んだ08内部留保(隠し利益)が過去最高水準の28兆円に上っていることが、大阪労連の「大企業の内部留保と経済波及効果と雇用創出」(09年国民春闘勝利!大阪ビクトリーマップ)で明らかになりました。
非正規雇用の増大など貧困と格差の広がりに府民や中小企業が苦しんでいる中で、大企業の社会的責任がいままさに問われています。大企業の内部留保を取り崩し、賃上げ、雇用を守り、内需拡大をすべきです。
大阪労連が、大阪に本社を持つ資本金100億円以上の大企業127社
がため込んだ内部留保について、有価証 券報告書に基づいて調査 しました。
08年度の内部留保総額は約28兆8612億万円で、前年度に比べ2兆2946億増やしました。
06年(33兆4294億円)に次いで過去最高水準となっています。
従業員1人当たり内部留保6405万円
従業員数(正社員のみ)は計45万593人
(前年度比5813人減)。従業員1人当たりの内部留保は6405万円に上ります。従業員数は00年度から約16万人減っています。
その一方で、経常利益総額は昨年度より減らしているものの3兆9459億円と、4兆円規模を維持しています。
内部留保をわずか0・28%取り崩せば1万円の賃上げが可能
こうした「隠し利益」が、いかにばく大か。今回の調査対象である127社に働くすべての正社員に、1万円の賃上げを実現するには、内部留保をわずか0・28%取り崩せば可能です。
また大阪のパート労働者など非正規労働者120万人の時間給を100
円引き上げるには、年1728億円が必要(週30時間労働として) ですが、そのためには0・63%を取り崩せばすみます。
大阪労連では1万円の賃上げで476億円の経済波及効果があり、約3500人の新たな雇用が生まれると試算。パート労働者に時間給を100円還元することで、1770億円の経済波及効果
があると分析しています。
ワークシェアリングで雇用創出
大阪労連は「ワークシェアリングにたった雇用拡大」についても試算しています。
@正規労働者の所定外超過労働時間(1人当たり144時間)をなくすことで約16万2千人、A年次有給休暇の完全取得で
7万7千人、B年間実労働時間2120時間を、日本政府の国際公約1800時間(現在は取りやめ)にすることで39万人の雇用創出につながるとしています。
麻生首相でさえ国会で内部留保の活用が必要だと認める答弁をしています。今日の経済危機を克服する最大の突破口は内需拡大。
企業の社会的責任が問われているいま、ばく大な隠し利益を正社員と非正規社員の首切り撤回、賃金引き上げ、下請け関連企業の単価引き上げに広く還元すべきです。
※内部留保 大企業が「資本剰余金」「利益余剰金」「退職給与引当金」などの名目でため込んでいる利益のこと。運用実態
とかけ離れた「隠し利益」となっています。 …