門真国保実態調査

払いたくても払えない

 高額で受診抑制

「無保険」解消できぬ人も

 2010年3月1日付「毎日新聞」より

 
  国民健康保険料が生活を圧迫する−。大阪社会保障推進協議会(大阪社保協)が28日に公表した「門真国保実態調査」結果。門真市は、毎日新聞が全市区町村を対象に昨年度実施した国保料調査では全国58位の高額で、加入者の苦しい実態が浮き彫りになった。【平野光芳】

治療中断も

  847人の回答総数のうち、約7割が65歳以上の高齢者。医療機関の受診抑制については、7%(60人)が「これまで治療費や診察代が負担できず、治療を中断した経験がある」と回答。最近1年以内の中断も、うち36人に上った。

 医療費を浮かせるためには、「重い症状の時のみ病院に行く」(152人)▽「病院に行く回数を減らす」(98人)▽「できるだけ市販薬で済ます」(98人)▽「薬の服用回数を減らす」(28人)−などが挙げられた。また、「重い症状の時のみ病院に行く」人は、60歳未満で比較的多い傾向が見られた。

年間40万円超
  昨年4月の国保法改正で、親が国保料を滞納しても中学生以下の子どもは、無条件で短期保険証が発行されるようになった。今年7月からは高校生世代にも救済対象が拡大されるが、「大人」には依然として厳しいペナルティーがある。

 調査で「今も無保険状態」と回答した人は25人。ほとんどが低所得層で、年収500万円以上ではゼロだった。門真市では08年度、「年間所得200万円、40代夫婦と子ども2人」の世帯で、年間保険料は42万4750円。「払いたくても払えない」という実態を裏付けていると言えそうだ。さらに「無保険」世帯には、高血圧や高血糖、心臓疾患、腰痛などの持病を抱えている人もいた。

構造的問題

  結果を分析した長友薫輝・津市立三重短大教授は「国保は必要な医療費を加入住民に割り振る仕組みのため、そもそも『支払えるかどうか』の観点で保険料が設定されていない。さらに行政は保険料の徴収ばかりに目が行き、加入者がきちんと病院に行けているかあまり注意を払ってこなかった」と指摘する。

 戸別訪問した調査員からは「保険料が他市と比べて高いのか低いのか知らない人が多い」「保険料などの問題を家族で抱えたまま、あきらめていた人がいた」といった感想も寄せられた。大阪社保協の寺内順子事務局長は「国保の問題は構造的なもので、門真に限った話ではない。調査結果をもとに、国や自治体に制度の見直しを求めていきたい」と話す。

 

大阪社会保障推進協 国保調査に協力を 健康状態など 門真で24、25日 2009年 10月15日付「毎日新聞」より 

「「無保険の子」救済開始半年 「窓口交付」の壁 保険証、進まぬ取得   2009年10月24日付「毎日新聞」夕刊より

 

  門真国保実態調査

 

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