大阪自治体問題研究所が「PT試案」に対する中間提言を発表
府民のくらし・福祉を守ることと両立できる大阪府財政再建、もう一つの道

 (社団法人)大阪自治体問題研究所は5月15日、大阪府の「PT試案」に対する中間提言を発表しました。
 中間提言では、橋下知事の言う「大阪府=破産会社」との立場に立つのではなく、減債基金からの借入れや借換債の活用も行いながら、府民のくらし・福祉を守ることと府財政の再建が両立できる方策を示しています。

         中間提言 「中間提言」のソフトランディング案

 

不透明な将来ビジョン「PT試案」


  そもそも財政とは、望ましい社会・経済システムをつくるための手段」とし、「福祉・医療、教育、環境のような社会サービスの充実と地元産業振興による経済構造の転換をはかることを理念とし、それへ向けた地域政策を追求する。」そのための府の財政運営が求められますが、そこが不透明であり、「財政再建=収支均衡」が最優先されています。


  その結果、「財政削減にすべてを従属させる形で運用されつつあり、それが府内の市町村や住民との間で軋轢を引き起こす」ことになっています。

  「財政をみる場合に最も重要なのは、府民生活を支えるための財政運営を持続していけるかどうかであって、借金の規模や赤字の拙速な解消が直接的な問題なのではありません。

  持続的な財政運営が可能であるにもかかわらず、市町村や府民生活を破壊するような財政再建策は本末転倒」であり、ここに大きな問題点があると指摘しています。

府民のくらし・福祉を守ることと両立できるもうひとつの道

  研究所の試算として、「第1に、減債基金を活用し、借換債を適切に運用すれば、毎年300億円程度の無駄をなくす改革取り組みで、平成28年度の単年度収支が黒字となり、平成37年度を最後に改革取り組みが必要な状況を脱する。


  第2に、改革取り組みの総額は5,400億円で、この間の必要起債額も1,200億円程度となるとともに、普通建設事業費の抑制効果で、公債費は23年度から着実に減少する。」としています。

     「中間提言」のソフトランディング案


不合理な大阪府案の前提

  大阪府の06年度普通会計の歳入合計は2兆8078億円です。府債残高は4兆3005億円なので歳入の1.53倍です。年収500万円の家庭で765万円の借金を抱えていることになります。


 また、下表のように、他の団体と比較しても、決して大阪府の府債残高が高いわけではありません。仮に地方債残高を唯一の基準において比較し、「大阪府=破産会社」と規定するならば、愛知県、兵庫県、大阪市も破産状態となってしまいます。

標準財政規模に占める地方債残高比較

大阪府

東京都

神奈川県

愛知県

兵庫県

大阪市

標準財政規模(億円)

14,035

39,117

11,582

12,139

9,461

7,154

実質公債費比率(%)

16.7

15.2

9.8

12.4

19.6

17.5

地方債現在高(億円)

43,005

67,628

29,744

38,048

36,802

29,052

地方債 / 標準財政規模

3.06

1.73

2.57

3.13

3.89

4.06

H19  大阪府財政ノート及び決算カード

  なお、「このままでは、夕張市のようになる。」との主張にも同意できません。

  夕張市の05決算では起債残高は149億円であり標準財政規模(44億円)の3.38倍ですが、観光会計の赤字や長期借入金等を加えると実際の返済額は632億円となり、標準財政規模の14.4倍です。

  そもそも、国や北海道による炭鉱やリゾート開発政策で振り回され、ピーク時12万人いた人口が1万3268人、高齢化率40%(06年3月現在)の夕張市と比較して府の財政状況を論じることにどれだけの意味があるのでしょうか。


「収入の範囲内で予算を組む」ことを絶対条件にしてよいのか?


  学校建設や道路など長期にわたって住民生活を支えるような事業などは、単年度でみれば収入の範囲を超えることになります。

  このような事業を起債によってまかなうことは世代間の負担の公平から考えれば問題はありません。

  重要なことは、それらの事業が住民にとって有意義であり、その負担に対する中長期的な計画によって財政の持続性が維持できるかです。

  自治体の財政は、必ずしも「収入の範囲内で予算を組む」ことを原則としているわけではありません。 

 また、借換債についても財務省が考える公用施設耐用年数(30〜50年)の範囲内で完済すれば問題はありません。

 借換えは元金の58%とするというルールは内かんにもとづくもので、拘束力をもつものではありません。


大阪府の財政再建案では、大阪の将来に重大な禍根を残す


  中間提言の最後に「(PT試案)では、これまで大阪府が積み上げてきた府民の共有すべき財産や社会的共同条件の多くを失い、将来世代に対して多くの負担を残すものである。大阪府の将来に禍根を残さないためにも、府民、市町村とともに大阪府の将来像を描くことが重要である。」と結んでいます。


  門真 市職労としても、「中間提言」の学習や普及を通して、住民生活と地方自治守る運動を一層強化します。


       

大阪自治体問題研究所が『橋下知事への対案−笑顔で暮らせる大阪府再建の道−』を発刊

 

門真市職労が大阪府の「財政再建プログラム試案」(PT案)についての緊急の「申し入れ」

府民生活切り捨ての「財政再建プログラム試案」 門真市でも約2億5千万円もの影響

府暫定予算 嘆く市町村 2008年3月8日付「朝日新聞」より