道州制とは

地方自治の形骸化が一挙にすすむ


 
 道州制は、現在の47都道府県を廃止し、全国を10程度の「道」「州」に再編、市町村との二層制にしようというものです。

  地方制度調査会は、2006年2月に道州制導入について最終答申をまとめる予定です。小泉内閣は、「道州制の導入に関する検討をひきつづき進める」としており、答申をうけて新たな具体化が始まろうとしています。

 戦後、地方制度は、基礎的な自治体である市町村と広域自治体である都道府県で構成されてきました。

 道州制は、この仕組みを変え、現行の都道府県を廃止し、全国を衆院選比例ブロック程度の規模の10余の道州に再編します。

 道州の仕事は、いまの都道府県の仕事の一部と国の仕事を合わせたものとなります。いまでも、都道府県の行政は、住民からは遠い存在と見られている場合が少なくありませんが、道州はさらに広域行政となり、地方自治の形骸化が一挙にすすむ恐れがあります。

市町村合併と一体での推進

 
さらに重大なことは、財界や政府の将来構想が、道州制導入と一体に30万人規模の300市程度への市町村の大再編を明示しており、首相の諮問機関である地方制度調査会でも、小規模市町村の強制的な再編方向が議論されていることです。

 「平成の大合併」の号令のもと、政府が強力に推進した市町村合併によって、全国の市町村数は、1999年3月末の3232から06年3月末には1821まで約4割減ろうとしています。小泉内閣は、引き続き市町村合併のおしつけを推進しようとしており、この合併おしつけを、道州制の導入の検討と一体にすすめようとしています。 

 道州制のモデル」として「道州制特区構想」が持ち上がっている北海道の高橋はるみ知事は、道内180市町村を21市にする考えを示しました。

 埼玉県の市町村合併推進審議会は県内71市町村を12市に再編する案を決めました。

 いずれの場合も、市町村の大幅な再編の理由に、道州制の議論をみすえてのことです。

 一方で、兵庫県の井戸敏三知事のように、「今以上に大きな道州が自治体であるといわれても実感がわかない」「現在進められている以上に性急な(市町村)合併が住民の支持を得られるのかどうか」として「異議を唱え続けたい」(「朝日」2月10日付)と表明する知事もいます。


大型開発目的 財界が要求


 道州制や市町村合併は、もともと財界の強い要望でした。
 1989年、経団連は、都道府県制について「国民や企業の活動範囲が全国的に広がってくることを考えると、行政単位としてはいかにも狭小に過ぎる」とその再編を提言しました。

 道州制を財界の戦略として明確に位置付けたのは、日本経団連が発足した直後に発表した「活力と魅力溢れる日本をめざして」(2003年1月、いわゆる「奥田ビジョン」)です。「『州制』を導入する」と打ち出し、「社会資本整備や地域の環境対策などの内政分野については、各地域の州政府(全国で5〜10)、ならびに現在より広域的な自治体(300程度)の所管とします」と明記しました。

 また政府の経済財政諮問会議の専門調査会が05年4月にまとめた「日本二十一世紀ビジョン」では、「道州制の実現・人口30万人規模の基礎自治体」を目標に掲げました。

 福祉やくらしを担う自治体を減らすことで、財政規模を大幅に縮減し、同時に、財界の望む大型プロジェクトをすすめやすくする――道州制に込められた狙いです。


 
地方分権委が第二次勧告
  道州制のあり方 地方制度調査会答申固まる

  自治労連が第28次地方制度調査会の最終答申にあたっての見解を発表まる (自治労連HP)

  道州制導入、27知事が賛成 明確な反対2人  本社アンケート  2006年3月5日付「朝日新聞」より

   地方分権改革・道州制Q&A

       (自治労連・地方自治問題研究機構HP)