財政破綻前に外部監査
自治体健全化法案、提出へ

  

   2007年3月7日付「朝日新聞」より

 
 政府は6日、北海達夕張市のような自治体の財政破綻を防ぐため、破綻に至る前の段階で早期是正できる仕組みを創設する地方公共団体財政健全化法案をまとめた。財政指標が一定の基準以上に悪化した場合は、財政健全化計画の策定と外部監査を義務づけるといった
いわばイエローカードのような制度だ。08年度からの導入をめざし、9日に国会に提出する。


 いまの自治体の再建制度は、破綻した自治体が総務相に申し出て総務省の管理下で再建を進めるものだ。夕張市も6日、 こうした団体に指定された。ただこれでは自治体が破綻する前の段階で平て直しを図る手立てにはならなかった。今回の法案はこの制度を半世紀ぶりに見直すものだ。

 新しい制度はまず、自治体の年度ごとの財政指標・健全化判断比率を設ける。@実質赤字比率A連結実質赤字比率B実質公債費比率C将来負担比率の四つ。自治体はこの数字を地方議会に報告し、公表しなければいけない。

  いずれかの指標が総務省が設ける早期健全化基準以上になれば「イエローカード」の状況となる。自治体は財政健全化計画の策定が義務づけられ、早期健全化が著しく困難な場合は総務相や知事が必要な勧告もできる。勧皆を受けると外部監査も義務づけられる。


 また、Cを除くいずれかがさらに深刻な財政再生基準以上になると「レッドカード」に。自治体は財政再生計画を定めなければならずその計画が適当でない場合、総務相は予算の変更など必要な措置を勧曹できる。


 この段階になると、現行の財政再建団体に相当し、災害復旧事業などを除いて、総務相の同意がなければ地方債の起債ができなくなる。ただ、金融機関からの短期借り入れは金利負担リスクが高いため、総務相の許可と財政再生計画の期間内を条件に再生振替特例債を発行できるようにした。
                         (中川史)